レース展望

ボートの夏、舞台は若松、誰が勝つ?

井上 泰宏 ●『西日本スポーツ』

3年ぶりに若松でメモリアルが開催される。前大会は記念すべき60回目の大会であり、『メモリアル』という通称で行われた最初の大会でもあった。その第60回大会では白井英治(山口)が悲願のSG初優勝を達成、ファイナルの1号艇から3号艇までを山口勢が独占した。各レース場から2名ずつの推薦、そして施行者推薦でメンバーが決定する大会の性質上、非常に珍しいことだと記憶している。

“夏”と“若松”というキーワードから真っ先に名前が浮かぶのは菊地孝平(静岡)。自他ともに認める夏男が思い出の水面で活躍必至だ。昨年大会で11年ぶりにメモリアルのタイトルを奪還し、今回は連覇に挑む。いまをときめく石野貴之(大阪)は昨年大会で1枠優出。最後は苦汁をなめたが、その後の充実ぶりは目を見張る。7月丸亀オーシャンCでの同一SG3連覇、そしてSG3大会連続優勝の偉業はならなかったが、勢いはまだまだ衰えることはない。何よりも注目すべきは抽選運。今年ここまでのSGで2連率40%以下のモーターを手にしたことは一度もない。

“初物”で注目したいのが遠藤エミ(滋賀)と永井彪也(東京)。SG初出場の永井は今期A1級に昇級したばかり。6月に若松を初めて走り、「水面に違和感はなかったし、経験は積めた」。常々「SGで結果を残したい」と語る遠藤は、7月の丸亀オーシャンCでSG2度目の準優出。女子初のSG制覇はもう夢物語ではない。自らの力でシンデレラストーリーを切り拓けるか、目が離せない。

パワー重視の方にオススメ! 若松で人気のパワー機『神セブン』

井上 誠之 ●『スポーツ報知』

モーター2連率 ベスト14

(2016年12月〜2017年7月14日)


モーター
番号
素性 2連率 勝率 周年使用者と機力評価・結果
使用者総合出足伸び結果
53 S↓53.5%6.66魚谷智之B予選落ち
11 A+46.6%5.97林 美憲A準優進出
52A+45.6%6.27毒島 誠S優出2着
59A+45.4%5.77湯川浩司A優勝
30A+44.1%5.96松井 繁A準優進出
34A↓41.9%5.95太田和美A予選落ち
42A↓41.4%5.65守田俊介D予選落ち
7B40.0%5.61深谷知博D予選落ち
28A+39.7%5.67吉田俊彦A予選落ち
18C↓39.7%5.42篠崎仁志D予選落ち
44D39.4%5.58平田忠則C予選落ち
43B↓39.1%5.59山口 剛C準優進出
17A↓38.9%5.61赤岩善生A準優進出
38A↑38.5%5.49峰 竜太B予選落ち
31A+38.5%5.77岡崎恭裕A予選落ち

若松のモーターは昨年12月の初使用から既に8ヵ月以上が経過しており、相場はほぼ固まっている。気温の上昇や温水パイプの着脱、さらに中間整備などでの変動もあり、必ずしも数字と素性評価は一致しないものの、例年に比べると、数字はある程度の目安にはなる。さらに6月に65周年が開催されたばかりで、そのときの動きが非常に参考になる。

エース機は唯一2連率50%オーバーの53だが、温水パイプが外れて以降は、正直なところかなり落ち目。周年直後のヴィーナスSで長嶋万記が節イチ仕立てだったが、これは長嶋の調整力によるところが大きく、周年では魚谷智之が平凡な動きで予選落ちした。

近況、53をしのぐパワーを秘めているのは7月に後藤正宗がズバ抜けたパワーで完全優勝した30、周年で毒島誠が最終的に節イチに仕上げて準優勝の52、湯川浩司が予選トップから周年を制覇した59の3基。さらに周年で林美憲が上位足だった11、同じく岡崎恭裕が前検から好感触だった31、乗り手を選ばず、つねに上位足になる28の3基も大差がない。以上7基を若松の『神セブン』と称してもいい。

2連率は40%に届いていないが、周年の峰竜太以降の選手がバカ噴きしている38、温水パイプが外れてからずっと伸び上位で、周年でも吉田拡郎が伸び強力だった64は上昇度が光る。ここまでの9基は文句なしの上位機だ。62173442も上位評価だが、近況は乗り手によっては全く出ないこともある。

最新のモータ情報は「ボートレース若松公式サイト モーター情報」ページで!

高配当をズバッと当てたい! 若松これ荒れるっちゃナイト! 爆裂配当をゲットする展示航走の見方を伝授

井上みつお ●『スポーツニッポン』

SGボートレースメモリアル 最近5年3連単高配当 ベスト10

(2012年・桐生〜2016年・桐生)

順位開催年開催場開催日レース連番払戻金1着選手決まり手
2013年
5日目7R5-4-295,710円長田 頼宗差し
2014年
2日目8R5-1-392,490円中澤 和志捲差
2012年
3日目1R5-4-174,650円熊谷 直樹捲差
2013年
3日目8R2-6-461,650円今村 豊捲り
2015年
4日目1R5-4-259,500円谷村 一哉抜き
2013年
5日目3R6-4-158,130円森高 一真捲差
2015年
5日目1R5-4-654,370円齊藤 仁捲差
2014年
6日目2R5-3-448,680円深川 真二捲り
2012年
4日目10R6-4-548,260円峰 竜太捲り
2012年
3日目3R5-6-447,190円松井 繁恵まれ

青字はオススメの穴キャラ

午後から夜まで、プール監視員をしている。“時給”だけでなく舟券で“日当”も稼ぎたいが簡単にはいかない。ただ、艇を観察していて「これだ」というのはある。

展示航走でのスタート展示。まずイン艇の動きだけを凝視する。その際、スリット通過後に他艇がインに追い付き、追い抜くような動きをしていれば“伸び”が良い。スタート隊形となるが、のぞけば攻める“買い”のシグナルとなる。ただ平面ではなく、上からスタート展示を見ないと、まあ、わからない。

 周回展示は2周。各艇がブイを回ったあとの水泡の立ち具合で、サイドの掛かりの状態を見る。水泡少なく、航跡が狭い方がスムーズさがある。展示を全力でやる選手とやらない選手がいるが、回っての押しは画面越しの“水泡”でわかる。あとはブイを回る途中で艇が何回バタつくか。6艇を数えてみて少ない艇は乗りやすい。イン艇がバタバタしていたら逃げチャンチャンの確率は狭まる。“若松これ荒れるっちゃナイト”と疑ってかかるべき。

今大会出場選手のなかから2〜6枠で狙える穴キャラを紹介する。

『差しならゴチやろ』部門では深川真二、中島孝平、石渡鉄兵の3名。

『センターは俺』部門は森高一真、遠藤エミ、下條雄太郎、中田竜太、山田哲也。

『外は任せんしゃい』部門では毒島誠、辻栄蔵、新田雄史、魚谷智之、重成一人、谷村一哉、長田頼宗ら。特に魚谷は、前付け艇の影響で外からの勝負になった際は狙い目だ。負けん気抜群にぶち込み、急浮上する。

吉川元浩と渡辺浩司は狙い続けたら面白い。不意を突いて爆裂配当をもたらしてくれる。

数字重視の理論派にはコレ! 若松のインの強さは風速5mまで! 6コースの差し2、3着受けは配当的にも◎

岡部 貴礼 ●『九州スポーツ』

進入コース別入着率

GI周年:2017年6月1日〜6月6日・65周年
1〜6月:2017年1月1日〜6月30日・最近6ヵ月

コース集計期間1着率2着率3着率
1コースGI周年56.9%16.7%4.2%
1〜6月53.7%19.3%8.1%
2コースGI周年18.1%25.0%26.4%
1〜6月16.4%24.7%19.2%
3コースGI周年11.1%22.2%18.1%
1〜6月12.2%20.0%19.5%
4コースGI周年4.2%13.9%19.4%
1〜6月11.5%17.2%20.4%
5コースGI周年8.5%9.9%19.7%
1〜6月5.1%11.7%17.9%
6コースGI周年1.4%12.7%12.7%
1〜6月1.6%7.4%15.4%

風速5m以上侵入コース別入着率

(2017年1月1日〜7月14日)

コース1着率2着率3着率
1コース47.3%19.6%9.5%
2コース16.2%23.0%19.5%
3コース15.6%16.8%17.7%
4コース12.9%18.5%23.8%
5コース8.3%13.6%18.7%
6コース1.8%10.5%12.9%

集計 BoatAdvisor

今回のSGメモリアルにおけるデータとして参考にしたいのが6月に行われた65周年だ。福岡オールスター直後に開かれた大会で、オールスターからの転戦組が多数を占めた、まさにSG級とも言える一戦。この周年では全72レース中、インが半分を大きく超える56勝を挙げた。1着率56.9%となり、今年1月〜6月のイン1着率53.7%を上回っている。

以前は捲りが決まりやすいレース場として知られていた若松だが、現行モーター導入後はご他聞に漏れずイン有利に推移。さらに、スタート巧者が揃うSG・GIにおいてはその信頼度はグンとアップし、今回も同様の流れとなると予想される。舟券作戦においても、インを無視した組み立ては積極的にはオススメできない。

ただ、追い風、向かい風にかかわらず、5mを超えるとインの信頼度が低下するので、風の強さには注意が必要だ。先の周年では6コースの2・3着率が25.4%と、5コースの29.6%と比べてそれほど見劣りしなかった。これは追い風中心の日が4日間、向かい風中心が2日間だった影響もあるだろう。夏場の若松は追い風の日が多く、差しのコースである6コースの2、3着は配当的妙味もある。

また、当地では今年度から出足、二の足を計る『直線タイム』が発表されるようになった。このタイムが良い選手の舟券絡みが目立っており、6コースなら好配当への期待も膨らむ。

地元福岡支部を応援したい! 地元イチオシは“天才”岡崎恭裕! 今年5回目の若松で久々のSG優勝を目指す

中森  亮 ●『日刊スポーツ』

重圧から解放された岡崎恭裕が、地元で7年ぶりのSG制覇へ挑む。昨年から上昇の兆しはあった。6年ぶりにグランプリ出場を果たし、今年3月の江戸川ダイヤモンドCで、待望のGI初優勝を飾った。2010年、浜名湖オールスターを制したSGウイナーが13度目のGI優勝戦で勝利し、ようやく記念ウイナーに名を連ねた。

俊敏なターンと果敢なコーナーの攻めが、岡崎の持ち味だ。5月の福岡オールスターでは予選通過ならなかったが、6月当地65周年では4日目に予選トップ通過がかかったところで、コンマ01のスリットオーバーとなった。それも、地元戦で気迫あふれるレースを続けてきた結果だった。

フライングを抱えながら、鳴門グラチャンでは準優で快勝し、優勝戦3着まで駆け上がった。続く丸亀オーシャンCでも予選は2着3本の爪痕を残している。

流れが良い岡崎にとって、続く目標は2度目のSG制覇になるなか、若松での開催は後押しになる。SG開催前のお盆特選レース出場に続き、2節連続の若松登場となる(施行者推薦の池永太も同様)。また今年1月一般戦、5月GW戦、6月周年でも走っている経験に加えて、当地戦ではモーターの後押しもあったが、舟足もしっかり仕上げてきている印象が強い。「難しい」と選手間でも評判の若松の調整方法を手の内に入れている感じがしてならない。機が熟した真夏の舞台での躍動に注目したい。

ボートレース若松 the Data

開催期間中の潮汐表

開催日 満潮 干潮
8月22日(火) 大潮 10:06 16:50
23日(水) 大潮 10:47 17:26
24日(木) 中潮 11:25 17:58
25日(金) 中潮 12:02 18:28
26日(土) 中潮 12:37 18:56
27日(日) 中潮 13:13 19:22

最近6ヵ月進入コース別成績

(2017年1月1日〜7月14日/1,256レース)

進入コース 勝率 1着率 2着率 3着率 平均ST 決まり手別1着回数
逃げ 捲り 捲り差し 差し 抜き 恵まれ
1コース 7.95 54.0% 19.5% 7.9% 0.17 629回 0回 0回 0回 43回 2回
2コース 5.83 16.2% 25.1% 19.1% 0.18 0回 28回 0回 151回 22回 2回
3コース 5.24 11.9% 19.9% 20.0% 0.17 0回 50回 61回 16回 20回 2回
4コース 5.09 11.5% 17.1% 20.5% 0.17 0回 56回 45回 31回 11回 1回
5コース 4.07 5.0% 11.7% 17.7% 0.18 0回 16回 30回 5回 11回 1回
6コース 3.32 1.8% 7.1% 15.2% 0.19 0回 1回 13回 4回 3回 1回

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