優勝選手リスト

(令和5年5月2日)

今年絶好調 奥田誠 イン逃走V!

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　1,1,1,3,1,1着の圧倒的Vだ! 若松ボートの「あるあるYY劇場杯」の優勝戦が15日に行われ、1号艇の奥田誠(34歳＝広島)が、1コースから好スタート決め、他艇を寄せ付けない高速インモンキーを披露。バック直線で早くも勝負を決め、独走ゴール。2012年丸亀以来、約3年ぶりの美酒を味わった。自身通算では5回目。昨年は2優出0Vだったが、今年は早くも6優出1Vと快進撃。この男から、目が離せなくなってきた。

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　やっぱり、優勝の味は染みる。

「いやー、ほんと嬉しいっす」

　ウィニングランの後、ピットで関係者から表彰されトロフィーを受け取ったり、写真撮影をしたウィナーは、目尻を下げて嬉しそうに美酒の味を噛みしめていた。

　1,1,1,3,1,1着。圧巻。文句のない、抜群の成績。なかなか当地に来る機会がなかったが、これで若松の多くの観衆に名前を大きく売った輝かしい一節だった。

　ただ、優勝戦後、ヘルメットを外した時に額に滲んでいた汗が、この男の心の底にあった不安を物語っていたようでもあった。

「とにかくピット離れが鳴いていて……。昨日も今日も朝からずっと調整したりして、心配でした」

　優勝戦は1号艇。もしもピット離れで立ち遅れるようなことがあれば、2号艇のA1級・金子龍介をはじめ、他の対戦相手達もその隙を逃さず攻めいってきただろう。一気に窮地に陥った可能性はあった。前日の準優も1号艇でインを取られていた可能性はあったという。

　それでも、ここ一番の優勝戦では、奥田は決して遅れはしなかった。懸命に調整。そして、本番はボートの前に体を乗り出してピットを出て、隣の2号艇に抜け出させない。魂の発進だった。

　P離れさえ同体ならば、あとは何も問題はなかった。インからコンマ13のスタート。今節は一節間の平均がコンマ14で、奥田はスタートもよく見えていた。「少し様子を見ていったけど、それでももつ足なので大丈夫でした。ほんとにものすごいエンジンだなと思います」。エース機の相棒を信じ、冷静に好スタート決め、1マークは先マイ速攻。マクらせない。差させない。誰も近づけない。力強いスピード逃走でぶっちぎり勝負アリ。強力38号機モーターを駆使しながら、霧雨が降る夜の若松水面を颯爽と気持ち良さそうに駆け抜けていったのだった。

　当地は約7年ぶりの出走。それでも、そんなブランクはハネのけた。今の奥田にはそれだけの勢いがある。今年の開幕戦である徳山正月戦で幸先良く優出を果たすと、蒲郡(1月)、児島(3月)、下関(4月)、丸亀(4月)とコンスタントにファイナル入りを重ね右肩上がりに上昇していき、そして今回の若松で約3年ぶりの優勝を掴み取って見せたのである。昨年1年間で2優出だった男が、今年はすでに6優出1V。明らかに動きが良い。前期勝率(2014年11月1日〜2015年4月30日)は5.76。B1級からA2級へと昇格も決まった。

「リズムはいいですね。(好調要因は)メンタル面です」と奥田は言う。以前まで勝負時の大事な局面で敗れる姿は目についたが、今年はそうじゃない。“勝ってやる”という自信が伝わるレースぶりが増えた。予選突破、準優突破をきっちりと果たしてくる。精神的にたくましくなったら、それがレースに現れるのがボートだ。

　奥田は力強く前を向く。「今年はチャンスがあればそれを逃さないように何度でも優勝したいです。1走1走頑張ります」。

　久々に体に染みわたった優勝の味が、この男のガソリンになって、ますます加速していく。

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(文：吉川)