優勝選手リスト

(令和5年5月2日)

長溝一生　気迫のマクリVだ!

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　若松ボートの「山口シネマカップ」の優勝戦が29日に行われ、3号艇で出走した長溝一生(47歳＝佐賀)が、3コースから鋭いスタート踏み込んで内2艇をマクリきって勝利。唐津正月戦に続く美酒を味わった。今年は今のところ8節走って5優出2Vと近況好調なベテランは、次走は大村GI周年記念に向かう予定だ。

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　前走地の唐津優勝戦では、4コースからスタート一気にマクろうとして内艇をしぼりあげていく気迫あふれるプレーを見せたが、妨害失格のジャッジで無念の敗戦だった。だが、今回は違う。長溝の熱いマクリが、今度こそ若松水面で炸裂した。

　優勝戦の進入は、枠なり3対3の隊形。穏やかな水面で、長溝は3コースからコンマ05の鋭いスタートを全速で踏み込んだ。前検一番時計を叩き出した相棒38号機は伸び足が評判。その直線の足にくわえ、この鋭いスタート。破壊力は抜群だった。2コースの本多宏和がマクらせまいと抵抗する素振りも一瞬見せたが、長溝とのスピードと気迫が違っていた。本多が抵抗をやめて艇を引いた瞬間、赤い炎が一気に内2艇を豪快に飲み込んでいった。

　バック直線では最内を6号艇の松井賢治が差しあがってきていた。マクって先頭に立った長溝だったが、少々外に膨らんでいる。回り足や立ち上がりの足は万全ではなかった様子。ただ、直線の足なら負けはしないし、捕まらない。艇先が入ってこないうちに内側へ締めて2マークを先取り。ここをきっちり回って、後続を一気に突き放す。赤い勝負服が単独先頭になってホーム直線へ真っ先に戻ってきた。勝負アリ。あとは悠々と首位走行して、若松水面では意外にも初優勝のゴールを駆け抜けていったのだった。2年前の当地九州地区選手権ではV戦1号艇で敗れた苦い思い出もあったが、今日は笑ってピットに帰ってきた。

「スタート良かった」と長溝。「(1周1マークは)また妨害をとられるかと思ったけど」と言葉を続けて笑いを誘った。上機嫌だった。


　ただ、ずっと笑ってばかりでもなかった。首を傾げて「リング変えたり戻したりしたけどイマイチだった。どうもおかしい。ペラが空回りしてる。直っていない」と、調整不足の点を漏らした。行き足や回り足の感触は不十分だったのだ。自分のした調整のどこが良くなかったのか。帰り支度をしながらも疑問は頭をよぎっているようだった。心の底から“大満足”とは、言えなかった様子。だがそうやってレース後も考える長溝だからこそ、A1級という高い位置を長年維持していき、また次回の活躍にもつながるのだろう。

　今年は、ここまで8節出場して5優出で2Vとその好調ぶりが光る。2月のGI地区選手権では節間5勝をマークしてみせた。今期勝率は6.80を超えた。

　そんな今注目のベテランの次走は大村GI周年記念へ出場予定。先日SGを初制覇した桐生順平をはじめ猛者が揃う。

「強力メンバーで大変そうだけど、頑張ります」

　今年で48歳。そろそろマスターズ世代だが、いまも若者に負けない豪快な走りを秘める。そんな長溝の攻めが、今度は春の大村スタンドを沸かせそうだ。



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(文：吉川)