締めくくりはやはりこの男だった。若松ボートの「第21回北九州市長杯」は31日、12Rで優勝戦が行われた。1番人気を背負った1号艇の山口剛(33歳=広島)がインから発進。スリット隊形は中ヘコミだったが、他艇の攻めは許さず1マークを先マイ。一気にリードを広げて首位独走。開幕前からダントツV候補に見られた実力者がその力をまざまざと見せつけ、2015年は圧巻の7度目のVを飾った。
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ノンストップで走りきった。
2日目から怒涛の7連勝を含め12戦9勝。さすがだった。SGグランプリシリーズから休みなし転戦で疲労も溜まっていただろうが、格の違う走りで優勝戦1号艇に座った。
V戦は2、3コースの地元2艇がまさかの立ち遅れ、中ヘコみ。インにとってはイヤな隊形だった。4、5コースがのぞいてくる。壁はない。「マクられることも考えた」。それでも、インの山口にはハイスピードのインモンキーがある。それで迎撃する。体をひねりながら1マークに突っ込んだ。
4コース烏野、5コース船岡には勝機があった。それぞれマクリ差しハンドルで山口の懐を狙った。だが、どれも不発。烏野は、2コースから膨らんできた白水を避けようとして外に流れ、その烏野がそのまた外にいた船岡に接触。ここでそれぞれがタイムロス。
その間に、イン先マイの山口が首位へ。リードを保って1周2マークをトップ旋回。一気に差を広げて完全に勝負あり。
あとは悠々と周回を重ねていって、ゴールイン。長い長い7日間開催の今節を、主役が力を示してきっちりと締めくくった。13戦10勝。別格の成績である。
若松水面では意外にも初、通算では31回目の優勝。
2着に船岡が入って広島ワンツー決着。3着には今節活躍の柴田。同期山口からアドバイスをもらい、健闘した。
勝った山口は「スタート事故なく勝ててよかったです!」と笑顔を見せた。コンマ17。スタートには注意をはらっていたという感じだった。
前節の若松は優勝候補だったA1級が非常識なフライングで消え、優勝戦では1号艇がフライングを切った。重なる返還額。競技委員長はもちろん激怒した。問われる選手のスタート意識。それでもなお、今節も複数人がフライングで飛び出していった。関係者は頭を抱え、新たなフライング抑止策を考えていた。
もうフライングは絶対に切れない。そんな状況。特に優勝戦1番人気の山口には特別なプレッシャーもあっただろう。それでも、それもはねのけて人気に応えて勝って見せた。勝負強い。SG・GIが主戦場の男はそのあたりはやはり違った。
これで2015年7V到達。1月の宮島正月戦を皮切りに、各地で活躍、浜名湖周年と児島周年とGIも2つ獲ってみせた。
SGを初制覇したのが2010年で、近年は少し勢いの弱った時期もあったが、強い山口が戻ってきた。
今年の走りはじめは宮島正月戦。続いてGI唐津周年へと向かう予定。2月も宮島や芦屋でGIが待っている。
2015年の勢いを消さない。
山口は今年もノンストップで突き抜ける。
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(文:吉川)
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枠 | スリット | ST |
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