福岡ソフトバンクホークスがリーグ制覇したこの日、若松水面でも地元福岡の戦士が優勝だ――。若松ボートで熱戦を繰り広げた「ポカリスエットカップ争奪 夜王シリーズ第2戦 第2回若松個性派王決定戦」は17日に優勝戦を行い、1号艇の今井貴士(31歳=福岡)がインからコンマ10の好スタートを切り、1マークを先マイ。1番人気のアツイ期待に応える逃走決めてVを飾った。これで今年は4V目ゲット。“今年6V”を目標に掲げる31歳は、順調な走りを見せている。次走は芦屋へ。そこは、今年すでに2回優勝の好相性水面だ。
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熱男!(あつお)。ホークスの選手が、ファンが、このフレーズをめいっぱい叫び喜んだこの夜。若松水面では、いつも穏やかでどちらかというと静かな男が、颯爽と駆け抜けた。
2、3コースの選手がゼロ台まで踏み込んできた優勝戦。早いスタート合戦だったが、インから発進した今井も、他艇を迎撃するべくコンマ10の好スタートを切った。「スタートは放ってしまいましたね」と反省していたが、今井の乗る51号機が前に前にボートを押す。マクらせはしない。スピードインモンキーで先制した。3コースから榎幸司が握ってきて、5コースからは岡崎恭裕が差してきた。九州のライバル達の攻めが次々と飛んできたが、どれも届かせない。バック直線では今井の舟が半艇身〜1艇身ほど前に出ており、トップに立った。
そのまま2マークを旋回。少し外側に膨らんだが、逆転は許さず首位確保で2周目へ。あとはリードを広げていって独走ゴールイン。GI初制覇(九州地区選手権)を成し遂げた思い出深い当地水面で、久しぶりのウィニングランを楽しんだ。
「良かったぁ」。ピットに戻ってきたウィナーは、頬を緩めて嬉しそうに笑った。勝てた喜び、大一番を終えた安ど感、その両方がにじみ出ていた。水面で戦っている時はヘルメットの中に別人のような鋭い視線を見せる今井だが、それはもう消えていた。
今節は特に存在が光っていた一節だった。成績は3、1、1、1、2、2、1、1着。予選は3位通過だったが、予選1、2位の選手が予選後の一般戦や準優で着を落とすなどして下降していき、抜群の安定感で好走続けていた今井が、最終的に優勝戦の1号艇を掴み取ったのだった。「良いエンジン引けて初日から舟足良かったですし、いい一節になりました」。今節、どの選手より一番よく乗れていたのはこの今井だっただろう。
今回の優勝で、今年4Vとなった。勝率も7点オーバー。順調な走りだが、まだまだ“これでいい”といった雰囲気が本人にはない。「今年はあと2回、優勝したいですね」。そう目標を語った。その言葉は力が感じられた。「後輩にも負けないように、自分も頑張りたいです」。福岡支部の若手選手は、8月に篠崎元志(96期)がSG制覇、そして今月は池永太(97期)が三国周年で歓喜のGI初優勝と、最近はますます若い選手が活躍して盛り上がっている。この状態に、同じ世代である今井(94期)もいい意味で刺激をもらっているようだ。
次走は芦屋一般戦へ。芦屋は今年すでに2回優勝の好水面だ。その後は唐津、多摩川、若松、びわこと一般戦に連続出場予定。
今年はあと約3ヶ月。V6到達へ、可能性は十分ある。
にこやかで優しい風貌ながらも、だが、ひとたび水面に出ると、スピードとハンドルテクニックで対戦相手を置き去りにする31歳。闘志は胸の中で、静かに燃やす。確かな目標がある今年、その炎が例年以上に強く燃える。勝負の秋冬に炎が冷めることもないだろう。
今井もまた、熱い男なのである。
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(文:吉川)
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