豪雨の中、渾身の逃走劇。若松ボートの「西部ボートレース記者クラブ杯」は26日に雨降る中で優勝戦が行われ、1号艇の羽野直也(24歳=福岡)がインからトップスタートを踏み込んで1マークを先マイ。差してきた安河内将を振り切って1着。平成最後の若松優勝戦を制した。優勝は1年5ヶ月ぶり、当地では初。
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11Rまでは降っていなかったが、優勝戦を待っていたかのように大雨が降り出した。風向きも変わった。
進入は123/456。
5号艇の木下翔太、6号艇の松江秀徳の動きは注目されたが、枠なり発進。
インの1号艇・羽野はコンマ12のスタートを切った。トップスタートだった。そこからイン先マイ。2コースの2号艇・安河内の差しを入れさせない。バック直線で羽野が先頭に立ち、2マークを先取り。もう一度、安河内が差しを狙って好ハンドルを切ってきたが、ここも羽野が抑えて、トップを譲らず。2周1マークで安河内を突き放す。完全決着。あとは独走。雨の若松決戦を制した。
ピットに上がってきて、ヘルメットを脱いだ羽野。表情は固く、締まったものだった。緊張はすぐには解けないといった感じだった。
決して余裕のある戦いではなかった。
不安はあった。今節はここまで、インから逃げていなかった。
2日目11R。イン先マイを2艇に差しこまれて2着。3日目11Rに再び1号艇に乗るも、3艇に差されて2着。逃げれず。準優はイン先マイを差されながら、2マークで差し返して、さばきで勝った。1マークで小さく回れない。「イン向きの足ではなかったです」。
それでも、良くしようと調整に汗を流し続けた羽野。優勝戦は違った。「1マーク回った感触は、今節で一番良かったと思います」。改良した舟足が、渾身のイン逃げを支えた。
これで当地は初優勝。「福岡3場で優勝したいと思っていました。嬉しいです」。表情は緩んだ。
通算優勝は6回目。一昨年の11月ぶりの美酒となった。昨年はSGに6度出場。GI戦も増え、上の舞台での経験を積んでいる。
次走は5月2日からの福岡ゴールデンウィーク戦。5月21日からは同じく福岡SGオールスターに出場予定。2年連続だ。
ファンからの人気も大きい羽野。水の上では鋭いマクリ差しなどを見せるが、陸では穏やかで優しい雰囲気が漂う。なごむ感じだ。「田舎育ちだからですかね」。そう言って、笑みを見せた。
まもなく元号は変わる。「(令和は)強い選手でいたいですね」。平成7年生まれ、ボート界期待のトップルーキーは、平成最後の若松優勝で勢いをつけて、新たな時代を歩み出す。
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(文:吉川)
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