熱戦を繰り広げた若松ボートの「読売新聞社杯GI全日本覇者決定戦開設65周年記念競走」は6日に優勝戦が行われた。1コースから発進した1号艇の湯川浩司(37歳=大阪)が1マークを先マイ。差しもマクリも許さず、バック直線で先頭に立ち、追走してくる毒島誠を抑え、堂々の1着ゴール。「大好き」という若松の周年記念を初制覇。2015年の周年V戦1号艇で敗れたリベンジをここで果たした。
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プレッシャーの中でのレースを勝ち、優勝表彰ステージでの受け答えをこなして、ピットに戻ってきても写真撮影や色紙へサインを書いたり忙しかった。すべてを終え、イスに腰かけた湯川が、それまで固めだった表情を緩めた。
「もう風呂入ってきていいですか?」
周囲にいた若松関係者にそう言って、少し笑みをこぼした。「今日は疲れました」。顔も首筋も汗びっしょり。それでも、目尻は下がっていた。緊張から解放された湯川の優しげな表情がそこにあった。
一日中、気の抜けない戦いだった。
今節は晴れの日が続いていたのに、優勝戦を待っていたかのように雨が降ってきた。風もイタズラに変化した。GI優勝戦1号艇。何もしなくても精神をすりへらすであろうに、そこに加えて天候ともにらめっことなった。
「今日は何回も風が変わってたので、スタートすごい難しかったですね」
本番はコンマ21の慎重なスタートを入れた。他艇も同程度のタイミングだった。スリットラインで攻め立ててくるような選手は不在だった。スタート問題は、クリアした。
こうなれば、インの湯川が有利に1マークを先制した。インモンキーで、バック直線に抜けると、首位に立っていた。「舟足は、タイムもだんだん良くなってきて、徐々に仕上がった感じでした」。
ただ、2番手から毒島が蛇のように追いかけてくるので、決して油断はできなかった。「道中で(毒島が)抜きに来るのは分かっていたので、しっかり走ろうと思いました」。気を引き締め、3周を走りきった。「途中で抜かれたら恥ずかしいなと(笑)」。
実力者の湯川だ。そう簡単に逆転など許さなかった。堂々、先頭ゴール。GIは昨秋のびわこ周年以来、通算11回目の美酒となった。
若松周年は待望の初制覇。
過去、当地ではSGでもGIでもベスト6に入ることがあった。好走する印象が強い。ただ、あと一歩が届かなかった。2015年の周年では期待を背負う1号艇で出走したが3着敗戦。苦汁をなめた。「すごい悔しい思いもしましたし、お客さんの期待も裏切ってしまったので、今回こそはと思っていました」。強い思いで、リベンジを成功させた。
次走は地元の住之江GIへ参戦予定。4月の大村GI優勝戦でフライングを切っているので、今月末のSGグラチャンの後、F休みに入り、それが明けても半年はペナルティーでGIに出場することができない。「住之江を最後にGIを走れないので、そこでも目一杯暴れてみたいです」。意気込みをそう語った。
8月には当地SGボートレースメモリアルに出場が決まっている。「若松はもともと大好き」と言う。再びの活躍に、期待は高まる。
若松周年に続いて若松SGをーー。そんな偉業も、湯川なら。可能性アリだ。その時はきっとまた、疲れたと言いながら笑い、風呂へ向かうのだろう。
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(文:吉川)
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