若松ボートの「ギラヴァンツ北九州杯」は29日に優勝戦が行われ、1号艇の辻栄蔵(40歳=広島)がイン逃げ決めて快勝。今節の顔というべきSG覇者が、きっちりと1番人気の期待に応えた。これで今年は3V(当地で2V)。賞金順位は14位(29日時点)。SGグランプリ出場へ着々と賞金上積みしており、今年の暮れにはこの男が大舞台に戻ってきそうだ。
= = = = = = = = = = = = = = =
マイペースに1コースから発進した辻が、1マークを先取り。2コースの荒井輝年が外を握って、4コースの麻生慎介が差して切り込んだ。だがどんな攻めが飛んでこようと、インモンキー決めて誰よりも早く先頭へ抜けていったのが辻だった。
「1マークは全速で回るつもりでターンに入った。サイドもよくかかっていたし、これなら多分差されたりすることもないと思いました」
スピード旋回披露。ターンの足の感触は、最終日は良好だった。シリーズ途中には「ペラ叩きすぎておかしくなりました」と心配な時もあったが、ラストの大一番には調整間に合わせ、首を縦にふれるようになっていた。
周りを見る目も冷静。「3号艇(大須賀友)の伸びは警戒していたけど、S展示で2コースの荒井君が伸びていたのでマクられることはないと思ってました。自分のレースに集中しました」。その通り、大須賀は荒井に止められ不発。その荒井が握って攻めてきたが、集中している辻はそれもはねのけてみせた。
スタートは控えめでコンマ20と5番手発進だったが、理由もある。
「スタートは今節慎重でしたね。これから(賞金レース)加熱しますしね」
次走は地元宮島のGI周年に出走予定。その次には児島GI、大村GII。そしてその先に見据えるのは、暮れの大一番SGグランプリ(賞金王決定戦)。当然、足かせはつくりたくない。しかも今節はF休みを明けたばかり。スタートのキレは当然鈍くはなった。それでも、スタート同体でも、ハンドルさばきできっちり勝って、期待に応えていく姿はさすがはSGタイトル複数持つ男のレベルの高さだった。格が違っていた。
現在賞金ランキングは14位(29日時点)。グランプリ出場可能性(18位以内)は高まっている。それでも本人は「まだ確定ではないと思うので、うわつくことなく次も頑張っていきたいです」と落ち着いて話す。
心には大事な思いがある。「フライング休み(9月21日〜10月21日)のあいだに、イベント(トークショー等)に出させてもらって、いろいろな人に応援してもらいました。(グランプリ出場なら)その気持ちを胸に頑張ります」。ファンを身近に感じられるイベントで、大勢の人からエールを直接もらい、かなり刺激されたようだった。
約9年ぶり。
熱いファンにも背中を押され、辻がいよいよ暮れの住之江に帰ってくる。
===
※この文章を他のホームページ等へ、無断転載することを禁じます。
(文:吉川)
着 | 枠 | 登番 | 名前 | タイム | 決まり手 |
---|
枠 | スリット | ST |
---|