ボートレース若松優勝選手

優勝選手リスト

(平成28年12月3日)

横綱 田村隆信 堂々V


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 これぞ格上――。若松ボートの「TVQ杯」の優勝戦が31日に行われ、1番人気の1号艇・田村隆信(37歳=徳島)がインから好スタート決めて1マークを先マイ。大外から6号艇の地元若手がコンマ03スタートを切ってきたものの、何ら慌てず騒がず堂々のインモンキーで他艇をシャットアウト。今年2度目の優勝を果たした。終わってみれば11戦8勝。SG 3Vの田村が別格の強さを見せつけた一節だった。

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 SGオールスターが優勝戦だったこの日。裏開催の若松一般戦も同日決戦のファイナルを迎えていた。大村では山崎智也がV。その約2時間後、この日最後の優勝戦の火ぶたが当地で切られた。

「大トリの役目を務めたい」

 そう言って、1号艇の田村隆信はボートに乗り込んだ。本来なら最高峰SGのピットにいたかったはずであろうから、その言葉の真意は裏開催にいる自身を少し皮肉って自嘲的に言ったのか、そうじゃないのかは分からないが、それでもとにかく、この5月31日を締めくくるのはこの男以外にいなかった。

「仕上がりは大丈夫」。舟足にもう不満はなかった。旋回能力やイン戦の巧さは周知のとおり一般戦の今節ではケタが違う。あとは、とにかくスタートを決めるだけ。前期F2を喫して、約2ヶ月の長期休みを経て今月、前走場(三国)で復帰したばかり。田村の不安材料を何かあげるとすれば、この点だけだった。だが、そんな懸念、やっぱりこの男はかき消した。インからコンマ09。白カポックは全速で踏み込んだ。「いいスタートが決まりましたね」。文句なし。自身も納得の好スタートだった。

 こうなればあとは、1周1マークを定評あるインモンキーで先マイ。大外6コースから新進気鋭の竹井貴史がコンマ03の気迫みなぎるドッキリスタートを踏み込んで頭をのぞかせていたが「(6号艇は)見てないです」と、この横綱の視界には入っていなかった。動揺や焦りなどもない。きっちりとターンマークだけを見て、集中力を研ぎ澄ました田村が鮮やかな航跡を1マークに描く。「イメージ通りの旋回でした」。このインモンキーで今まで何度も勝利を掴んできた。もちろんSGの大舞台でも。今日も同じだ。他艇を誰一人として近づかせはしない。バック直線に抜けると単独トップ。勝負アリ。カクテル光線が照らす中、独走フィニッシュ。あとはウィニングランを楽しんだ。若干の足かせがあろうと、隙は作らず、挑戦者を土俵に転がして圧倒的1番人気の期待に応える。横綱相撲だった。

 これで今年は2V。若松では通算4回目。レース後はピースサインで写真撮影にも応えて笑みをこぼした。

 ただ、笑顔の裏に今の苦しみもにじむ。前期はF2。来期はA2級に屈辱の降格。はじまりは、昨秋のSGチャレンジカップFだった。続けて、暮れのSGグランプリのトライアルでも痛恨のF。どちらもコンマ01のわずかの差で地獄を見た。グランプリのフライング罰則で、その後「4つのSG出場資格」が消され、この時期のオールスターはもちろん出られなくなり、6月グラチャン、7月オーシャンまで不出場。GI、GIIもまだあと2ヶ月ほど走れないので、全国の一般戦とGIII回りが続く。今はスタートの思い切りの良さは封じ、我慢の時に入っている。

「再来年(2016年)に会いましょう」とグランプリのF後に報道陣にコメントを残したらしい。SG戦線にこの選手がいないのはさみしい。だが、きっと各地の一般戦などでV候補として暴れて、優勝を重ねて、また態勢を立て直して、上の舞台に戻ってくるだろう。

 田村のSGでの走りを待つファンは少なくない。枠なり主流の今のSGで、トリッキーに内コースを取りにいったり、何を繰り出すか分からないこの男の存在をおもしろいと感じている人は多いはず。

 次走は児島GIII戦へ。6月末のSGグラチャンの時は、裏開催の多摩川一般戦を走っている予定。

 今は復活への階段を登る。黙々と。着々と。この男にはきっと来年、SGでの大トリが待っている。



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(文:吉川)

日目 12R優勝戦 レース結果

登番 名前 タイム 決まり手
スリット ST

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