若松ボートの「ルーキーシリーズ第9戦植木通彦フェニックスカップ」は13日に優勝戦が行われた。2号艇の白神優(27歳=岡山)が3コースのカドから発進。1周1マークではイン先マイする1号艇の仲谷颯仁の懐に差して切り込み、バック直線で並走。2マークで仲谷を振り切って単独先頭へ。そのままリードを守って独走ゴール。デビュー5年6ヶ月目で待望の初優勝を飾った。
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追い風2m。風は穏やかな優勝戦だった。
コースは16/2345。6号艇に乗っていた今節の最ベテラン・海野康志郎が前付けに動き、それを横目に、2号艇の白神は3コースカドに引っ張った。
不安は抱えていた。「3カドはほとんど経験がないので緊張しました」。
それでも、この男はコンマ12の好スタートを決めた。トップスタートだった。そこから艇をのぞかせ、内2艇にプレッシャーをかけた。「ダッシュ分、出て行ったかなという感じでした」。
白神が内に締めていこうすると、これに対して2コースの海野が意地の抵抗。1周1マークは、海野が先に握って仕掛けた。それに応戦する形で1コースの仲谷もイン先マイ。仲谷は懐を空けていた。海野も外に飛んだ。この展開に、白神が素早い差しハンドルで最内へと切り込んだ。
引き波を2本越えても力強い。出足も良かった。差しが完全に入る。バック直線。外の仲谷を捕らえて並走。「無我夢中な感じでした」と白神。
続く2マーク。仲谷が猛スピードの握りマイで外から強襲してくるも、白神もスピードターンで2マークをきっちりと旋回。握り負けはしない。仲谷は流れて後退。白神が単独トップに躍り出た。ここで勝負アリ。あとは、先頭を3周走りきって、ゴールラインへと飛び込んだ。
デビュー5年6ヶ月目。これが嬉しい自身初Vとなった。「ホッとしているのが正直なところです」。レース後、カポックを脱ぐと安堵の表情。当地の印象を尋ねられると「若松は大好きな水面になりました」と言って、笑みを見せた。
若松では最近好走する。今年7月に一般戦を走った時も優勝戦に進出していた。今節は予選トップ通過を決め、合計8勝をあげた。
今期はA1級の勝率を維持。初の昇格も見える。「地元の先輩から攻めるレースが少な過ぎると言っていただき、デビューした時の攻める気持ちをもう一度考えました。成績も少しずつ良くなってきました」と、今期の好調を振り返る。攻めの姿勢を意識しながら、成長を続ける。今回、初Vを経験した、実績ができたということも、白神のこれからにつながるだろう。
「感謝の気持ちを忘れずに、選手生活を送っていきたいと思います。これからも優勝できるように頑張りたいです」。初々しいウィナーは、礼儀正しくそう話して、澄み切った表情で前を向いた。
新たな風が吹き始めた。
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(文:吉川)
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