ボートレース若松優勝選手

優勝選手リスト

(平成28年11月26日)

火の国生まれ 松村敏 豪快マクリV!


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 若松ボートの「“わ“の心で被災者へ! 〜熊本地震被災地支援競走〜 九州スポーツ発刊50周年記念杯」は1日、優勝戦が行われた。カド4コースから発進した3号艇の松村敏(32歳=熊本出身 福岡支部)がコンマ06のスタート決め、スローの3艇を一気にマクリきって劇的勝利。地震で被害を受けた熊本城のライトアップが再開されたちょうどこの日の夜、若松水面でも火の国魂が輝きを放った。

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 インから126/345。

なぜこんな進入隊形になったのか。スタート展示は枠なりだったのに。

 本番ピット発走後、すぐに空気が変わったのが分かった。5号艇の松田竜馬がピット離れ良く飛び出し、4号艇の小林一樹の頭を完全に抑え込んだ。「ゴチン」。ボート同士が接触する鈍い音が2マーク側に響き渡った。

 松田に完全に頭を押さえつけられた小林。一度、ボートを外に出して、スピードを出してスロー域に回り込んできた。6コースに追いやられてはたまるかと言わんばかりに。それに呼応して6号艇の佐竹恒彦や、松田が早めにホームスタンド側へと艇を入れてきた。4、5、6号艇が全部スローに入りそうな気配すらあった。明らかに、最近のゆったりとした3対3の雰囲気じゃない。おいおい、なんだか穏やかじゃないぞ。1号艇の高橋勲までもが、これはのんびりはしていられないといった感じでレバーを急に握ってイン水域へ入って枠を主張した。マイペースではなかった。

 結局、6号艇の佐竹だけが3コースに入る形になり、スローは1、2、6の三者。佐竹がカド受け。スタート展示で6コースだった男が、本番3コース。これは想定していたのだろうか。仮にしていても、スタートは難しいはず。これはカド受けの艇にS不安あり。ということは……。

「さあー! 絶好のカド戦となりますか3号艇の松村敏!」

 実況アナウンサーの声が一段と大きくなった。カメラが松村を映す。多くの観衆の目が、松村に向いたはず。赤いカポックがエンジンを噴かせ、後方にボートを引っ張っていく。キタ。カミソリスタート松村の出番だ。

 松村とて、展示は3コースだったし、これは想定もしていない進入だった。「(4コースカドは)まったく練習していなかった」。

 それでも、レバーを握りこみ、体を伏せ、松村が踏み込んだスタートタイミングは驚異のコンマ06。文句なしのトップS、電撃ショットだった。このSこそ、この男の凄み。カド受けの佐竹がコンマ21と遅れているので、その差は火を見るよりも明らかだった。スリット通過後、赤い勝負服が勢い良く佐竹を飲み込む。続けて2コースの鈴木勝博も引き波の中へ。そうしてラスト、インから意地の抵抗をしてくる高橋の外を、思い切りぶん回してマクリ沈めて撃破。今節負け知らずだった高橋は無念、ここで水しぶきを浴びる形になった。

 バック直線では、松村が先頭。5コースの松田が松村マーク策からマクリ差して追ってきたが、その艇先が届く前に、2マークをトップターン。ここで完全に松田を引き離して、松村に軍配。前走三国に続いて2場所連続で今年2度目の美酒を味わった。

 ピットに戻ってきてスタートタイミングを確認すると、「うわ−、いいスタートいけたなあ」と驚きの声をあげながらVを喜んた。芦屋や福岡ではV経験あるが、若松水面では意外にも初のウィニングラン。「いっつも人の花火ばっかり見てましたから、ほんとやっと自分で出来ました」。待望の若松名物ビクトリー花火も楽しんだ様子だった。

 今節は初日にいきなり減点7点。「その時、終わったと思いました」。それでも腐らなかった。「エンジンが勝率よりよく動いてくれましたね」。相棒39号機と共に、連日好ファイトで着をまとめて優勝戦進出。ラストは自分に向いたチャンスを逃さず、見事なスタートで勝利を掴んだ。

「今年はA1級に戻る事。それと優勝回数をまずは5回目指したいです」

 そう目標を話して、松村は次戦へと向かっていった。戦いはまだ続く。

 ちょうどこの日、地震で石垣などが損壊する被害を受けた熊本城のライトアップが再開された。被災地に希望の灯りをともす意味があった。時刻は午後8時。その約50分後、夜の若松水面で一人の火の国の男が放った光もまた、熊本で応援しているファンを照らしていたはずである。
 


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(文:吉川)

日目 12R優勝戦 レース結果

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