優勝選手リスト

(令和5年5月2日)

調整に汗流して…寺田千恵が勝ち得る

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　今年早くも4V、世間のG.Wは過ぎ去ったが寺田のゴールデンタイムはまだまだ続行だ――。若松ボートで熱戦を繰り広げた「GIIIオールレディースJALカップ」の優勝戦が7日に行われ、4コースから発進した4号艇の寺田千恵(46歳＝岡山)が、1マークで最内を鋭く差し込み、2マークでは突っ込んできた魚谷香織を冷静に先に回して差し返して首位へ。そのままトップを守りきって独走ゴール。機力劣勢で最終日も1人調整作業に没頭したベテランが、会心の笑みをこぼした。

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　艇界のレジェンド加藤峻二引退のニュースが駆け抜け、YAHOOのトップページにまで掲載されたこの日。若松水面では、女流ベテラン寺田がその底力を見せつけた。

　台頭する20代30代がV戦メンバーにズラリ並んだ中で勝ち取った優勝に「若い人に勝てて嬉しい」と素直に喜んだ。

　優勝戦はスリット隊形からどよめいた。注目を集めた1号艇1番人気の平高奈菜がインからコンマ22。スタート展示でコンマ00タッチを決め、逆に本番の踏み込みが心配されたが…。スタンドに大勢詰めかけた観衆の悲鳴怒号が起こる中、2コースから気迫のゼロ台スタート決めた2コース原田佑実が平高を難なくマクる。そして1マークをトップ旋回。

　今節の台風の目はこの原田。悲願の初Vへ、27歳が手を伸ばしていく。だがその瞬間、ブイ際を青い閃光が駆け抜けていった。スピード十分、それでいて的確、どこか重厚、そんな航跡を残すそのボート。寺田だった。SGやGIなどこれまで数々の修羅場を経験してきた腕と目が、冷静沈着な差しハンドルを繰り出してターンマーク際をすり抜けていく。「1マークは差ししか考えてなかったです。(5コースの)5番をけん制しながら、うまくいい感じで差せました」。会心の旋回決め、バックストレッチでは外に原田、内に寺田と並んだ。こうなればポジション有利に寺田が2マークへ。最内から急角度で魚谷香織が突っ込んできたものの、憎いくらいに冷静に魚谷を先に回して、差し返して完全首位へ。好ファイトの魚谷が追撃してくるが逆転は許さずフィニッシュへ。息があがりながらも、若松では5回目の美酒を味わったのだった。

「最高に嬉しいです!」。表彰式のインタビューでは開口一番そう発した。

　決してラクな一節ではなかった。初日ドリーム戦は絶好枠1号艇に乗艇。V候補筆頭として注目を集めたが、マクリ差しに屈して敗れた。その後、2日目からは2、3、4着を計7本。さばきで着をまとめるが、白星は少なかった。動きは軽快ではなかった。準優はエース機に乗る平高との機力差を痛感した。「劣勢」。そう弱気なコメントも出た。ただ、とにかく寺田はあきらめずに調整に汗を流した。何とかしたいのその一心で。プロペラを追及し過ぎるが余り、最終日もドタバタしたが、勝利の女神はそんな寺田を見捨てはしなかった。「優勝戦は外に締められると思っていたけど、ついていった。バタバタ調整して良かったです」。努力は実を結んだ。

　今年は5優出で4V。勝率7点オーバー。手がつけられない勢いだ。絶好調な波のまま、次走は尼崎オールレディースへ。今月末にはSGオールスター、来月には若松GI周年記念にも出場予定。再び当地参戦する。「周年に来た時はまた頑張ります」。そう若松のファンに誓うと、期待の拍手が送られた。

　1969年生まれの65期。2001年、女性で初のSGレース優出という歴史的偉業を成し遂げた現役レジェンド。女子王座2勝を含め通算優勝回数は53。そろそろマスタ―ズが見えてくる世代でもある。だが、闘志も腕も、まだまだ若手に負ける気はない。

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(文：吉川)