2度あることは3度あっても、12度あることは13度はなかった。若松ボートの「東龍軒カップ」は18日に優勝戦が行われた。1号艇の中村亮太(38歳=長崎)が1マークをイン先マイ。バック直線に抜けると、後続に3艇身ほどの差をつけてトップ独走。そのまま1着ゴール。今年12回の優勝戦で敗れて悔しさを味わった男が、13回目の今回で優勝を掴み取った。当地では2回目。
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風向きは、向かい風だった。
ホーム4mの風が中村の体に当たる。スタートに集中しなければならない風だった。それに加えて、5号艇が強烈な前付け。1号艇の中村にとってはイヤな状況だったはず。
それでも、中村はすべての不安をはねのけ、勝った。インを誰にも渡さず守りきり、コンマ16スタート。隣2コースの5号艇が大きくヘコんでいて、センター勢から丸見えの状況になるも、落ち着いて1マークを先マイ。3コースの2号艇はマクリ差しに入れず後退。4コースの3号艇の差しも届かず。インモンキーの白い勝負服がバック直線で早々と単独先頭。後続を大きく離して、勝負を決めた。
「1マークはしっかりと舟のサイドがかかって回れました。エンジンは出てました」と中村。手応えは十分、といっていい様子だった。
レース後はビクトリー花火が上がる中、ファンの声援に応えた。「ウィニングランは楽しかったです」。そう話すと笑みをこぼした。
年の瀬だが、待望の“初笑い”である。
今年は、走り始めの1月大村一般戦優出から始まり、その後もコンスタントに優出するも、Vだけは届かなかった。
優勝戦1号艇5回を含む計12回ファイナリスト入りするも、敗れ続け、苦汁をなめた。
13回目の今回で、ついに優勝を掴み取った。これまでは機が万全に仕上がらない状態で戦ったりすることもあったが、今日は最高に近い仕上がりの相棒モーターで駆け抜けた。
今、ボート界の注目はSGグランプリの大勝負であろうが、その裏側で中村は中村の勝負に打ち勝ったのだ。
「今年は優勝戦で負けが続いたりフライングを切ったりしました。今回の優勝を機に、来年は上向ければと思います」
そう話して前を向いた。表情は晴れた。負の流れを断ち切った今。どうやら風向きが変わったようだった。
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(文:吉川)
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