ボートレース若松優勝選手

優勝選手リスト

(平成28年12月3日)

篠崎元志 復活! マクリ差しで地元記念初Vだ!


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 モトシの笑顔咲く! 連日熱戦を繰り広げた若松ボートの「GI全日本覇者決定戦開設63周年記念競走」の優勝戦が11日に行われ、3コースから発進した3号艇・篠崎元志(29歳=福岡)が快勝。1マークで鋭いマクリ差しハンドルを切り、イン先マイの湯川浩司を見事に捕まえた。これで地元(若松・芦屋・福岡)の記念は待望の初V。レース後は何度もガッツポーズと笑みを見せた。梅雨時の鬱陶しい空気も、自身の近況のもどかしさも合わせて一掃するような爽快勝利。勢いをつけて、次はSGグラチャンへ向かう。

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 曇り空。時折小雨もまじり、湿度も高い。蒸し暑く濁った空気。不快感のある梅雨の夜だったが、モトシの爽快ターンと笑顔が、そんなものを吹き飛ばした。

 2周2マークを赤いカポックが先頭で回ったくらいから、2マーク側のすぐそばで見ていた地元福岡の選手たちは完全に勝利を確信して、にぎやかに「やったー!」「モトシ!」など叫んで喜んでいた。「地元の先輩後輩たちが応援してくれていたのが見えました」と篠崎。同支部、同僚の目の前で、嬉しい嬉しい地元記念初優勝を掴み取ってみせたのだった。

 ピットに戻ってきたら祝福の嵐。原田幸哉をはじめ、他地区の大物選手も複数声をかけていた。そして多くの選手がそのレース内容を称賛していた。ライバルたちも認める。それだけ、キレのある旋回と勝負強さをこの男は見せた。

 スタートは全艇がゼロ台に踏み込んでくるという驚異的なスリット合戦。さすが900万円がかかった記念の優勝戦。前走場のSGオールスター準優1号艇でフライング大返還の後遺症が残っているであろうインの湯川浩司も、ここはコンマ07まで踏み込んで闘志をみせた。さすが湯川だった。ただ、それよりも速かったのが、2コースの吉田拡郎コンマ04。しかもほぼ全速のように見えた。さすがのS巧者。この吉田の艇がのぞくのぞく。湯川にプレッシャーをかける。対する湯川は、何としても1マークを先に回るべく我先にとインモンキーを打っていった。1番人気1号艇の意地が確かにそこにはあった。ただ、その時点で、もう自分のペースのイン逃げではなかった。白カポックはターンマークをハズれ、舟のサイドのかかりも甘く、艇が外側に流れた。たとえ吉田が握ってくることを警戒していたとしても、空きすぎだった。吉田はマクることはせず、差し構えに入ったものの、引き波を抜け出せず精彩を欠いた。

 その瞬間、赤い勝負服が湯川の内側を颯爽と切り裂いていった。この男ならではの確かなハンドルさばき。全身全霊のマクリ差し。篠崎だった。

「拡郎さんが(スタートで)先行されてて、どうされるかなと思っていたけど、(自分は)マクリ差ししかないと思った」

 的確な戦況判断を一瞬で。バックストレッチでは、外側にいる湯川を半艇身ほど抑えてトップへ躍り出ていた。そして2マークを先取り。差し返し狙った湯川は、内から突っ込んできた平本真之を待っての差しで、ここで遅れをとって万事休す。篠崎完全独走。それでも「正直、足的に自信はなかったので、3周全力で走りました」。気を抜かず周回を重ね、最後は喜びを噛みしめるように頭を下げ、歓喜のゴールラインを駆け抜けていった。待望の地元記念初Vの瞬間だった。「地元GI優勝が若松で出来たらいい」。今シリーズ開幕前にそう語った言葉が実現した。

 場内で行われた表彰ステージには多くの観衆が詰めかけた。ファンから万雷の拍手と祝福の声を受け取ったヒーローは「本当にありがたいです。ありがとうございます」と言って晴れやかな顔を見せた。

 格別の味。篠崎は「想像以上の喜びがあります」と、今回のVを表現した。一昨年のSGメモリアル優勝戦で痛恨のフライング、その罰則で昨年はSG戦線から姿を消した。毒島誠、平本、茅原悠紀、桐生順平と次から次にSGやGIなどビッグタイトルをGETする同世代の選手が出てくる中、もどかしさだけが募った。「あのFのあと、早くタイトル獲りたかったんですけど、できなくて……。でも、きょう地元で獲ることができて最高に嬉しいです!」。声は格段に弾けていた。両拳を高々とあげて、「やった!」と叫んだ。こんなにも感情を、それも喜びを爆発させる篠崎、そうそう見れるものではない。それだけ、この約2年で味わった苦しさやプレッシャーが重かったということだろう。もう、この29歳は解放されたのである。

 初出走、初1着、初優勝、そして地元GI初制覇。思い出を刻む好相性スポット・若松水面の女神に背中を押され、さぁここから再び反撃開始だ。今年の艇界、東の選手が活躍しているようだが、西からこの男が立ち上がる。「これからもいいレースをして、SGグランプリ(賞金王決定戦・12月)に必ず出場します」。そう誓うと、表情はたくましく引き締まった。

 元志にとっての“雨の季節”は明けた。一回り大きくなった姿で、前だけを見つめる。その大きな瞳にはもう、一点の曇りもない。


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(文:吉川)

日目 12R優勝戦 レース結果

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