ボートレース若松優勝選手

優勝選手リスト

(平成28年12月3日)

竹井貴史 マクリ一撃! 決めたぞVゴール!


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 渾身のシュートをゴールに突き刺したーー。若松ボートの「公営レーシングプレス杯」は17日に優勝戦が行われた。2号艇の竹井貴史(25歳=福岡)が3コースからコンマ07の電撃スタート決めて速攻。気迫のマクリ一撃でインに構えたSG覇者・石野貴之らを破り大金星をあげた。これが嬉しいプロ初V。高校時代、サッカーの名門・東福岡高校でレギュラーとして活躍した男は、持ち前の突破力でこれから艇界を駆け上がっていく。

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 地元観衆が大勢集まった水面際は、興奮のるつぼと化していた。

 大一番の優勝戦。石野貴之、烏野賢太、西田靖らビッグネームは揃って後方。3周2マークを先頭でターンして、体を弾ませるようにしてホーム直線に帰ってきたのは黒いユニホームをまとった地元期待の若手、竹井貴史だった。

「SGレーサー達を破って大金星!」と、実況アナウンサーの声が弾んだ。

 見事な勝ちっぷりだった。

 コース取りでは3号艇の西田が動きを見せ、1号艇石野に絡んでいった。それを横目に、2号艇の竹井は3コースに構えた。「3コースになることは昨日の夜から想定済みでした」。イメージは十分だった。それでいて、さらに“小技”も織り交ぜた。S展示では西田を激しく突っ張り2コースを主張。譲りませんよ、とファイティングポーズを見せた。しかしそれは演技だった。本番。S展の時より勢いを増して猛然とスロー水域へ襲いかかってきたインの鬼を、竹井はあっさりと交わして2コースに入れた。正解だった。結局、西田と石野だけは早々とスタートラインに艇を向けたが、竹井はじっくりと、集中力を高めるようにしながら3コースを取った。

 石野は深イン。竹井にとって最高の進入隊形だった。あとはどれだけ踏み込めるか。「スタートいかないといけないという気持ちだった」。気迫満点の25歳はコンマ07の見事なタイミングでスリットラインに突っ込んだ。もう完全に一人だけ抜けていた。1コース石野がコンマ19、2コース西田が21。ダービーでFを切ったばかりで、年末の大一番も控える石野と、F休み明けたばかりでSいけないことを嘆いていた西田にはつきあえない竹井の鋭い踏み込みだった。

 1周1マーク、マクって先制。バック直線に抜け出した。もはや勝負は決まっていた。「対岸の大型映像を見たら後ろが結構離れてた。あとはターンマークだけと思いました」。残すターンマークも油断せず回って後続艇の接近など許さず、独走ゴールイン。デビュー5年目、待望のプロ初優勝をその手に掴み取った。

 ウィニングランは、男性ファン女性ファンからの祝福の声に、手を振って丁寧に応えていた。「初めてのウィニングラン最高でした! 若松で出来て本当に良かったです」。ピットに戻ってきた竹井は表情を輝かせた。

 本当に嬉しそうだった。若松は純地元。選手になる前、目の前でレースを見た場所。思い入れは強い。デビューもここ若松。初1着も。初優出も。そして初優勝も刻んだ。

 デビュー後、関係者からの注目度は高く、「若松準地元スター」になり、「若松地元スター」になり、常に当地の看板を背負った。ただそれはプレッシャーでもあった。1日でも早く結果を残したいと焦り、一人相撲を取るようなこともあった。攻めの姿勢が裏目に出るようなこともあった。

「初優勝まで長かったです。もっと早くしたかったです。A2級になるのも遅かった」。竹井はそう言って本当に悔しそうにする。まだデビュー5年。一般的に見れば順調な歩みに見えるが、この男の心の中には、もっと早く、もっと早くという思いが強いようだ。慢心はない。向上心の塊である。

 高校時代、名門であり超強豪の東福岡高校でサッカーをやっていた。各地から集まった大勢のサッカー自慢達を抑えて、レギュラーを取り、試合に出場して活躍した。練習は一般人の想像を超える過酷さだったが、くじけず、部員達との切磋琢磨の日々を送った。その頃から、今の竹井の強い向上心や、負けん気の強さは培われたのだろう。それと結果を出すことの大事さも。これでいいやという、妥協するような気持ちは今の竹井には一切無い。

 ちょうど今節と同タイミングで、母校東福岡が全国高校サッカー選手権福岡大会を6ー0で制した。今年の冬もヒガシは強い。後輩の活躍を知ると竹井も嬉しそうで、刺激にもなっていそうだった。

 来年の目標を竹井に尋ねた。答えはすぐに返ってきた。「まずA1級に上がることです。そこからGIレース、記念レースを目指します」。きっぱりとそう言う。初優勝を決めても、視線はすでに次を見ていた。

 迷いはない。これからどんどん竹井は上へ進む。どんな壁だろうと、ディフェンダーだろうと突破するだろう。艇界を駆け上がっていくこの男の足は、止まりそうにない。






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【ベテラン烏野 4着】
4コースの烏野は、3コースの竹井マークからマクリ差しを狙うも、石野と接触するなどで今回は不発に終わった。レース後はサバサバとした雰囲気だった。「(竹井は)スタート早かった。若い」。そう言うと少し笑った。

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(文:吉川)

日目 12R優勝戦 レース結果

登番 名前 タイム 決まり手
スリット ST

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