若松競艇優勝選手一覧
西部競艇記者クラブ杯争奪戦(平成22年2月27日〜平成22年3月4日)

3227 長岡茂一(東京)
長岡茂一が混戦制し、今年早くもV2達成
競艇場内が、深いタメ息につつまれた。
優勝戦1号艇のフライング失格……。これがまたしても、若松優勝戦で起こってしまった……。人気を背負った艇にあってはならない事態。その引き金となったのは一体何だったのだろうか。
まず、優勝戦当日を振り返ってみる。この日は気象状況がコロコロ変わるような難水面であった。1R〜6Rの前半戦は、風速8m前後の追い風が吹き、安定板まで装着していたのだが、後半になるとそれが外され、水面は緩やかになる気配もみせていた。だが、時間を追うごとに、追い風は向かい風へと変わり、上空の暗い雲からは大粒の雨が降り出し視界を悪くした。さらに、前半レース中は暖房器具のスイッチを入れるほど肌寒かったのだが、後半になると気温も上がり、それも必要なくなっていた。これだけ気象が変われば、選手はモーターの調整が難しくなる。特に、スロー起こしからのスタートが届かなる選手が目立ち、10Rまで終わった時点でインの艇は壊滅。インに入る1号艇馬袋にとってはかなり悪い状況となっていた。
ただ、今節の馬袋はイン勝率100%。エンジンもバランスが取れており問題はない。馬袋だけはしっかり逃げてくれるだろう、本命党のそんな想いが伝わってくるかのごとく、1号艇からのオッズはグングン下がっていった。
しかし、1番人気のインを脅かすには十分な対戦メンバーが揃っていた。アウトに構えたのは、ダッシュスタートのキレ味抜群な水摩敦。3コースには、準優で2コースからの直マクリでイン艇を沈めた長岡茂一。2コースには、出足◎で、虎視眈々と差し切りを狙う堤昇。
これら全ての要素が、V最短といわれた馬袋にとってプレッシャーとなり、少なからず影響を与えたのは間違いない。誰にもマクられたくない、誰にも差されたくない、そんな思いが自然と生まれただろう。負けたくない気持ちがスロットルレバーを放ることを拒んだのだ。結果、彼はコンマ01の勇み足で失格。沈痛な空気が漂う中、終わってみれば長岡ー堤ー水摩の順で決着したのだった。優勝を狙える位置にいた地元期待の水摩は、1周2マークでキャビってしまったのが残念だっただろうが、次に繋がる一節だったと私は感じる。
優勝した長岡は、コンマ06の見事なスタートタイミングであった。予選道中もただ1人のオール3連対。さすがSG2冠の実力者である。
そんな長岡は前検日に、若松競艇の宿舎が今秋に新しい宿舎に変わることを知り、「僕は、(若松を走る機会が多くはないから)今の宿舎に泊まるのは今節で最後になりそうだなぁ」と話していた。ただ、最近の若松は短いスパンで斡旋されてくる選手が少なくない。ひょっとすると、秋までに再び長岡が若松に現れ、暴れる姿を見る可能性も十分ありそうだ。
馬袋にも同じことは言える。もし、何ヶ月後かに若松を走ることになったとすれば、今回の後悔と反省を忘れずに活躍してほしい。そうすれば、ファンの方達が酔いしれるような名勝負が優勝戦で見れるはずだ。きっとその時は、興奮の余韻から満足のタメ息が漏れるのだろう。
(文・吉川)
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第37回しぶき杯争奪W優勝戦(平成22年2月21日〜平成22年2月24日)

3442 宮武英司(香川)
インを死守して、宮武英司が堂々の逃げきりV
若松巧者といえば誰か?
一般的には、先の日本MB選手会会長杯争奪戦にて準パーフェクトVを決めた吉川元浩、3節連続若松V(内1回は完全優勝)をやってのけた西村勝、エンジン仕上げに定評のある大平誉史明などの名が上がる。
ただ、その3人より実績では劣るが、若松水面ではこの選手も忘れてはならない。それが宮武英司だ。
宮武の現在勝率(2月19日時点)は、6.39。だが、若松勝率に限って調べてみると、7.10を超えた高い勝率を残しているのである。そんな彼は、今節より約1ヶ月前に当地を走ったばかり。その時も1着を5本と荒稼ぎし、優勝戦では2着と健闘していた。
当然、今節(得点優出制の4日間)も暴れるはずだ。若松をなかなか走らない選手よりペラも合わせやすいだろうし、当地水面にも慣れているだろう。そう感じ、初日から宮武マークを試みた。
まずは第1走目。2コースから発進した宮武は、1コースと3コースが1マークでやり合った瞬間を見逃さず、差しを決め見事に1着スタート。
続く2走目はイン逃げ成功。3走目は、4号艇という枠ながら2コースまで動き、インの藤丸光一を叩いてマクリ快勝。スタートタイミングをコンマ00で残すという強運も彼を後押しした。
ここまでで3連勝。
4走目では4コースを選んだ宮武。すると。2、3コースが絵に描いたような中ヘコみ。4コースにとっては好展開となり、1着は取れなかったものの、2着をゲットしてみせた。
6号艇で登場して4コースに動いた5走目では、5コースの艇が早いスタートで飛び出して締められた。だが、その5コース艇に2、3コースの艇が激しく抵抗してもつれ合い、1マークはガラ空きに。そこに、早めに艇を引いていた宮武が飛び込んで巧く2着を掴むこととなる。この時点で得点率1位(1着3本、2着2本)の座が決まり、優勝戦1号艇を射止めたのだった。
V戦では、2号艇・藤丸や6号艇・濱田などにイン水域を狙われラクな進入とはならなかったが、1コースを守りコンマ09の鋭いスタートを決めてイン逃走。4コースの3号艇・川上が宮武と同じゼロ台鋭発スタートで攻め込もうとするが不発。それを尻目に宮武がバックストレッチで先頭に立つ。2周目では2番手の4号艇小畑がじわりじわりと差を縮めてくるが、逆転は許さない。徐々に引き離していき見事にVゴール。当地では初優勝となったのだった。
これからも、若松の出走表に宮武という名があれば狙ってみたい。若松巧者として、まだまだ活躍する力を秘めていそうである。
(文・吉川)
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3778 安達美帆(埼玉)
波乱決着! 安達美帆が念願の初優勝
艇界の美帆が金メダルゲットだ——。
2月12日に開幕したバンクーバー冬季五輪。スピードスケート史上最年少日本代表の高木美帆選手など、多くの男子・女子選手の試合が注目されている。だが、盛り上がったのはバンクーバーだけではない。若松の夜も熱かったのだ。
当地では初の試みとなる男女W優勝戦の今シリーズ。その記念すべき初日オープニングカードを制したのが安達美帆であった。
安達は1Rで勝利をゲットすると、後半9Rでも1着を穫り初日を連勝発進。その後も軽快な伸び足を武器に大崩れすることはなく、優出を決めた。
しかし、優勝戦では彼女の前にあまりにも大きな壁がそびえ立っていた。女王・横西奏恵である。横西は、90日のF休みを消化しての当地参戦だったわけだが、初日から貫禄の走りで安達と同じく連勝発進。長期休み空けの横西が、3月の女子王座直前にどんな走りを見せてくれるのか、全国の競艇ファンから注目されただろう。同じ連勝発進でも、横西の影に安達は隠れてしまっていた。
ただ、だからこそ優勝戦でこの2人が激突することになり、興味が湧いた。1号艇に横西、4号艇に伸び自慢の安達。勝つのはイン逃げかマクリか。構図としては分かりやすくていい。安達の口からは、「伸び足は抜群。優勝戦6人の中でも出て行く」という言葉が聞かれた。
迎えた本番。6戦4勝オール2連対で文句なしの本命である横西がインに座る。対して、安達は4コースカドに引っ張って発進。
息を呑むスリットは、カドの安達が半艇身のぞいた。そしてグイッと伸ばしてマクリ体勢に入る。しかしインから白カポックも迎撃体勢。女王の意地のイン逃げが決まるのか。そう思った瞬間、安達が横西を捕まえようと渾身のマクリ差しハンドル。これが差さり、伸びを活かしバックストレッチで横西の内に並びかける。そうはさせじと横西は安達を抑えこむ。だが安達は引かない。そのまま2Mを先マイ。これを見て横西は差し返しの構えを見せる。横西の腕なら安達は捕まってしまうのか。
その瞬間、波乱が起きた。
差しを狙っていた1号艇に5号艇が突進! 横西はこの黄色のダンプカーを避けることはできず、バランスを崩し水面に放り出されてしまった。まさかの落水失格……。場内は騒然である。
こうして先頭には安達が抜け出て、そのままVへ一直線。これがデビュー15年目での嬉しい初優勝という形で、波乱の幕は閉じられた。
横西にとっては、次走の下関女子王座に向けて作った良いリズムが崩れた結果となってしまった。だが、SG戦でも男子選手にひけをとらない横西である。きっと、女子王座では「V本命」の役割を果たしてくれるであろう。
安達は、初優勝への長い道のりにピリオドを打つことができた。だが、終わりは始まり。これで満足などせず、今後も水面の金メダル獲得を目指して進んでいってほしい。
(文・吉川)
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